抜群のおもしろさ、目から鱗の展開、あぶないまでの筆致と、本当に面白く読めた本。サイエンスとしては今一だけど、既存の価値観を揺さぶること、大きいです。
セラピードックの話。これも機内で観た。この手の話にしては、あまり道徳的にすぎず、感動も押し付けず、で好感の持てる映画だった。
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出張で乗った飛行機内で観た。
アメリカ人が大好きなスーパーヒーローもの。その特徴は、普段はうだつの上がらない「普通の人」がいざとなるとがーんとでてきて悪者をやっつけるところにある。水戸黄門にも似たこの構成は米国でも大いに流行る。
もうひとつ、スパイダーマン2で強調されているのは、「無私の正義」である。スパイダーマンは決して報酬を要求したりしない。警察や消防署に随分貢献しているはずだから、役員報酬くらい請求してもいいくらいだ。
もともと、アメリカ人は「アラモ」にみられるように、無私の自己犠牲を美しいと感じる人たちである。ところが、現実は欲望に満ちており、マーサスチュワートなんて犯罪を犯していても、月給が(!)何百万ドル。世の中、狂っている、とみんなが思っている。だから、スパイダーマンが流行るのだ。
書評では、難解、意味不明みたいな事が書いてある事が多く、身構えていたが、何の事はなく、とてもすっきり入ってくる小説だった。村上春樹の文章は会話や文体そのものを味わっていけばいいのだと思う。意味とか隠れた主張を読み解こうとするから、分からなくなる。
光のあたらないところで、多くの人生が巧みに交錯していく。ミヒャエルエンデの小説にも似たこの設定が面白いと思った。
集英社新書。これは実に面白い。本当に目から鱗である。今年読んだ新書では日本語練習帳と同じくらい面白かった。タイトルの面白さだけで売っている今日びのベストセラーよりも10倍は面白い(人の事はいえないけれど)。
女性学が横糸にはあるが、社会の変遷や自分の人生も語りながら、かなり広い俯瞰から書いている。そこが安定感を生んでいる。ありがちなルサンチマンや、下手をするとヒステリーが散見されるこの分野の本の中では出色のできである。特に、漱石の解釈や米国のフェミニズムの解釈は、びっくりだった。