アサヒドットコムより、
女医はつらいよ 増える女性医師の現場。リンク先の
女性医師を応援するページ も興味深い。
医師に限らず、医療の提供の方法にはいろいろあってもいいのだが、「こうでなくてはいけない」という周りの縛りに苦しめられる。医療スタッフ全体が人不足なので、過剰労働そのものを解消するのは困難だが、「先輩が帰るまでは帰れない」のようなどうでもいい因習を捨てる勇気をもてば、少なくとも現状よりは、かなり楽になるはずだ。
また、以前から主張しているが、「医師全体が博士号をとらなければならない」という根拠のない前程も捨て、本当にPhDコースを取りたい人だけが大学院に行けば、より効率よく人材を活用できる。余裕ができれば、育児休暇や当直無し勤務も容易になる。
私はこれまでにたくさんの女性医師の同僚、部下、上司を持った。
基本的にどのような女性の同僚や部下を持っても問題ない。異性の感覚は私とは異なるので、勉強になることが多い。白状すると、女性と仕事をするのは嫌いではない。美人なら、なお嫌いではない。
上司の場合、だめな女性医師の上司を持つと、これはつらい。何かトラブルがあると、「私が女だと思って、、、」とすぐに性差別問題に転換されてしまうことがある。また、男性以上にマッチョであることで競争を勝ち上がってきた女性ボスも、人と競って勝つことしか頭にないことがあって、とても疲れる。他の医者を打ち負かすために医療者やっているわけではないのだが。もっとも、だめな上司だととても困るのは、男性についてもまったく同じだ。まあ、私なんぞは男だから楽なもので、本当にこういうボスを持ってつらいのは女性である。「私の若い頃は妊娠○週でも当直やっていた」「そんなだから男になめられるのよ」と散々である。
優秀な上司をもつととても助かるが、優秀な女性医師の上司は、女性であることがかえって武器になっており、周囲をまとめるリーダーシップに、繊細な女性らしさが加わっている。米国にはこういう女性医師が多い。米国は女性が働きやすい環境、という意味では日本よりもずっと進んでいるが、それがこういうパーソナリティーを育んでいるのかもしれない。
今いる診療所には女性医師は多いが(同室には私と、女性医師3人)、基本的に患者さんを診るのがメインの仕事で、それぞれが自分のペースで仕事ができる環境が整っており、皆とても快適そうだ。当直をするもの、しないもの、週末働くもの、働かないもの、いろいろである。「働くほうが勝ち、働くほうが偉い」という価値もないが、かといってがんばって働いても白い目で見られることはない。今のボスも女性(しかも医師でない)。これは、とてもよいことだと思っている。