「東大落城」は危機管理の専門家として有名な佐々さんのご本だ。特に興味深かったのは機動隊が相手を殺傷しない、というコンセプトで作られた日本独自の存在であるということ。
「会社はこれからどうなるのか」は、細君が奨めるので、日本で買った。グローバルスタンダードという言葉のマジックで、日本型会社はだめ扱いであったが、こうしたきちんとした検討を経るとこのように、空虚な言葉遊びがとても危険であることが分かる。残念なことに「空虚な言葉」は増えつづけるばかりであるが。そういえば、バブル時代に落合信彦は日本の企業はモラルがない、みろ、米国の企業はきちんとモラルを守っている、みたいなことを本に書いていたが、エンロン以降の展開を見ると、人間バブルになると判断力が狂うのは普遍的なもので、突出してモラルな、あるいはイモラルな国民、というのはないのだ、ということが分かる。もっとも、イラク戦争を見ると、かの国のイモラルさは少々突出しているようにも思えるが。
「詩が生まれるとき」は、そうした言葉の空虚さに警鐘を鳴らしている。レヴィ・ストロースやサイードのいう文化の相対性などにも言及しており、哲学的な詩の分析が多い。どうも詩にはあまり感動できないし、書けもしないのは、詩のパワーがないからなのか、私が鈍いからなのか、、、、